特集 天井特化VRのひみつ
「このエロVRがすごい!」2020年上半期1位作品をはじめ、高評価を得ている「天井特化アングルVR」の秘密に迫りました。
(2020年11月7日 このエロVRがすごい!編集部 2020年11月26日更新)
もくじ
- 天井特化アングルとは?
天井特化VRと従来アングルの違い - 「天井特化」命名者、ハリマオさんに訊いてみた①
天井特化アングルならではの快楽 - 「天井特化」シリーズの宮迫メンバー監督に訊いてみた
天井特化撮影の難しさや工夫 - 「天井特化」は、もはやVR AV標準キーワード?
KMPだけじゃない、さまざまな天井特化作品 - 「天井特化」アングルに寄せられたユーザーの声
天井特化と銘打たれた得票作品の紹介 - 「天井特化」命名者、ハリマオさんに訊いてみた②
天井特化アングル誕生秘話 - 「天井特化」がもたらしたもの
天井特化はVR AVにおける第4のキラープレイ
天井特化アングルとは?
覆いかぶさった女優の顔がぜんぶ見える快感!
従来のVR AVでは、騎乗位など女優がユーザー(男優)にまたがった際、女優の体や行為が見やすいように、仰角を抑えたカメラアングルが設定されていました。結合部を見せなければという2D AV的な配慮があったかも知れません。こうした従来のアングルでは、女優がユーザーと体を重ねて密着し、ユーザーに覆いかぶさるように顔を近づけるほど、画面外へ女優の頭部が切れてしまう現象が生じていました(画像1:黒くスクリーンされたカメラ画角外に女優の顔の一部が隠れているのがわかります)。
黄色いエリアは、カメラの画角イメージです。ユーザーは上下(左右)に首を振ってこのエリアの中で自由な視野を楽しむことができます。
「天井特化」命名者、ハリマオさんに訊いてみた①
天井特化アングルは、女性に天を制圧される喜び!
ーー天井特化アングルと、従来アングルの違いはわかりましたけど、ユーザーにとって違いがわかるものですか?
ーー今、なにげに射精しました?
天井特化でよく見られるのが男の腰の両サイドに手を着いて杭打ちをするスパイダー騎乗位。僕の耳をかすめて両手をドンッ!と床に着いて超密着&顔面近&覆いかぶさった極限の状態です。興奮度が半端ないです。
ーーこの感じは、ちょっと今までのVR AVでは無かったかもですね!
「「天井特化」命名者、ハリマオさんに訊いてみた②」へ続きます。
「天井特化」シリーズの宮迫メンバー監督に訊いてみた
天井特化アングル撮影の難しさ
難しさは、男優の体型・女優の体型を考慮して、最大公約数のユーザーに合うようにカメラ位置や角度を調整することです。
天井特化アングルで映えるプレイと映えないプレイがあるので、その使い分けをシーンごとにしています。
例えば、フェラをじっくり見せたいときと覆いかぶさり騎乗位ではカメラ位置も調整します。それでも一連の流れが途切れないようにしなければなりません。
最初(『【VR】天井特化アングル!ジーニアス騎乗位(Genius in cowgirl position)! 永瀬ゆい』)はどこまで受け入れられるのかわからなかったので、天井特化アングルと従来アングル両方の騎乗位を収録したりしましたね。
天井特化アングル撮影の工夫
企業秘密になりますが騎乗位の尺は女優のパフォーマンスが活かせる尺に合わせていることなどですかねー。
あと、9月にリリースした『【VR】LOVE LOVE 天井特化アングルVR 〜性欲モンスター再び〜 宮沢ちはる』では、「このエロがすごい! 2020年上半期」の女優部門1位になった、宮沢ちはるさんからのメッセージも収録してるので、ぜひ見てください!
「天井特化」は、もはやVR AV標準キーワード?
メーカーの垣根を越えて広がる天井特化ワールド
最初に「天井特化」アングルを打ち出したのは、2019年11月にリリースされた、KMPの『【VR】天井特化アングル!ジーニアス騎乗位(Genius in cowgirl position)! 永瀬ゆい』。
その後、KMP『天井特化アングル』シリーズは、八乃つばさ、川菜美鈴、稲場るか、小鳥遊ももえ……とVR AVで高く評価されているAV女優が続々と出演する一大シリーズとなっています(2020年11月26日時点で15タイトルがリリース)。
FANZAで「天井特化」で検索すると42タイトルがヒットします(2020年11月26日時点)。KMP以外のメーカー、宮迫メンバー監督以外の監督作品も多数あります。
さまざまなメーカーから競うようにリリースされている様は、2018年からはじまった「JOI(Jerk Off Instruction)」ブームを思い出します。「JOI」ブームは、女優がカメラに向かって演技するVRの特性とプレイの相性が良かったことや、MarrionやSODのヒット作が原動力でした(詳しくは、当サイト掲載のスペシャルコラム『JOI(Jerk Off Instruction)と日本のVR/2D AV。その変遷と可能性』を参照してください)。「サキュバス」がヒットしたときは、多くのサキュバス作品が世に出ました。
AVは、人気作品に追随する傾向が強く、パクリ・パクラレはよくあることのようですが、今の「天井特化」ブームは、「JOI」や「サキュバス」ブームとは違う活気を感じます。他社が追随したというより、VR AVの新たな可能性をより盛り上げていこうという「祭り」に似たにぎわいです。「覆いかぶさり」というVR AV独特のスタイルがいつの間にか標準的なキーワードとなり、多くの作品に採用されているように、「天井特化」もまた、VR AVの標準的なキーワードに育ちつつあるのでしょう。
検索結果の中で、最も早くリリースされた他メーカー作品は、プレミアム・ZAMPA監督の『【VR】【HQ超高画質】専属・竹内有紀VR第2弾!長尺186分! 1つ1つ前戯が丁寧な痴女セックス!正常位極みアングルを含む前作で収録できなかったヌキ所満載の6射精ヨダレまみれVR!もちろん中出し有り!』でした。
天井特化と言わないけれど、天井特化な作品も多数!
「天井特化」という言葉を避けて(?)、別の言葉で表現した作品もあります。CRYSTAL VR(レーベルはダイナミックアイズEX)では「完全仰向け視点」と称した作品があります。
エスワン ナンバーワンスタイルは「騎乗位特化型アングル」と称しています。
同時多発的に生まれた「天井特化」
もともと、覆いかぶさった女優の顔を画角から切れないようにしたいという声は、VR AVメーカー、ユーザーのツイートに散見されます。
それ、けっこうやってます
視界が斜めになるのがネックです— KMP VR(Averもやってるよ) (@KMP_VR) March 6, 2019
それ現場の迷いどころです!ちょい上向きのほうが見やすいです?
— アリスJAPAN VR (@AliceJapanVR) August 28, 2019
『【VR】天井特化アングル!ジーニアス騎乗位(Genius in cowgirl position)! 永瀬ゆい』以前から、天井特化アングル、それに類する言葉をパッケージやメーカー説明文に使っていなくても、天井特化アングルと呼べるシーンがある作品がリリースされていました。2020年に入ると挙げればキリがないほど多数リリースされています。
こうした作品は、KMPを中心とする「天井特化」と時を前後して、並行発生したものです。
「このエロVRがすごい! 2020年上半期」で作品部門1位に輝いたunfinished・凛々監督の『目を覚ましたらそこはラブホテル。目の前には後輩の美人OLが…。僕は帰ろうとするが拘束されていて動けない。優しく微笑みながら僕を見つめ誘惑してくるその姿に僕は我慢できず… ももえ』は、KMPを中心とする「天井特化」作品群とは別に、独自にこうしたアングルへたどり着いた代表的な作品でしょう。
「天井特化」アングルに寄せられたユーザーの声
「このエロVRがすごい!」レビューから
なんといっても騎乗位での顔が切れないこと。それと私は乳首を責められるのが大好きなので(UFOSA使用)スパイダー騎乗位での乳首舐めなど随所に永瀬ゆいさんが責めてくれるので、その両方でこの作品を選ばせて頂きました。
たっくん
なんだなんだ最近のマッチングアプリはこんな可愛くてえっちな子ばっかりなのか?え、そうなの?まじで?!やったーー!マッチングアプリ最高!ほほほーい!またまたすげぇ可愛い。永瀬ゆいちゃんやばい。そして「天井特化アングル」。素晴らしいね。有無を言わさず素晴らしいね。騎乗位でゆいちゃんにピストンされて、こっちは腰が浮いて仰反ってつい天井見ちゃうけど、ゆいちゃんの可愛いぃいお顔があるもんね。天井特化だからね。画面の境界と黒いとこないもんね。それにくわえて「私の顔見つめてるの?」ですもの。図星のドキッでイっちゃうもんね。そんでゆいちゃんのイきそうになる顔が可愛いんだ。Mっけ搾り取られる。
こけし隊長@爆乳狂信隊VR
ハリマオさんのツイートから始まった天井特化アングルが素晴らしいです!カメラの角度を上向きにすることで騎乗位で顔がきれちゃう問題を見事にクリア!そしてゆいちゃんの騎乗位が凄すぎて最高ですよ。この作品は天井特化アングルと騎乗位!ってタイトル書いてるのでそれメインみたいに思うかもしれないですが。対面座位、正常位などすべての体位が素晴らしかったです。文句なしのこのエロ選出です!
VRもん
全世界が待ち望んだ『天井特化アングル』大満足の出来でした。
とにかくゆいちゃんが可愛い。いや、まじで。
もうすでに顔が好みすぎるんですよね〜どうしようか。
可愛いすぎません?ねぇ?(誰にしゃべってるんだよw)
ちゅっちゅ顔が切れずに騎乗位が見れる、最高です。ストレスフリーです。
上から見つめられされ、圧迫。
天才的な腰の動き!!
気持ちよすぎて「ぴゅぴゅっ」とハメ潮まで披露してくれます…!!
う、うおおおおおおおそのお汁飲みてええええええええ(狂気)……失礼、取り乱しました。
おかげ様でたくさんのユーザー様に評価いただき、感無量。
企画として大成功だと思います。
可能であれば、第2弾、第3弾とシリーズ化できればいいな。
ゆいちゃんとKMPさんに大感謝です。
ハリマオ
従来の騎乗位視点よりも天井側に視点を上げた迫力ある騎乗位を楽しめる素晴らしい体位です。
なんと本作は、本編は全てその角度。
しかもただその角度なだけじゃない。見上げる角度ということは、言い換えると常に女優さんから見下ろされてるということです。
それを利用した、見事なストーリー。
八乃つばささんに、身体だけじゃなく心も支配されます。
ウービィ
VRといえばやはり天井特化は外せないですよね。寝たまま全てを任せたまま射精まで導いてくれる・・・
これはもう仮想性感マッサージと言っても過言ではないかと。
VR館Takumi~消えないゴーグル跡~
「天井特化」という言葉を更にVRファンの間に浸透させてくれた作品だと思います。
他メーカーさんでもちはほらとこのアングルを採用するのが確認できるようになりましたね。
つい最近のAbemaでも普通に【天井特化】が紹介されてて笑ってしまったw
ハリマオ
それにしても天井特化はすばらしいのです!このアングルがあるかないかを購入基準の1つにしてもいいくらいすばらしい!お気に入りのあの作品にこのアングルがあったなら…って思うくらいすばらしいです!
これからこのアングルの作品がどんどん増えていくかと思うとワクワクが止まらないですね!
あ〜たん@めぐみ〜ランドR18
「天井特化」命名者、ハリマオさんに訊いてみた②
天井特化アングル誕生秘話
ーー天井特化アングルはハリマオさんが考案したものだったんですね! すごい! 神!
ーーすみません、日本語だということと、今また射精したことはわかります。
ーー多くのまとめ記事で引用されているこのツイートですね。KMPさんが「絵で描いて教えて」ってリクエストして。
ちょっと粗い加工で申し訳ないんですけど、簡単に言うと更に上向きにってことですw pic.twitter.com/HQ4sKkiKm3
— ハリマオ (@hariharivr) August 28, 2019
ですね、後この話にもよるところが大きいので挙げたいんですけど騎乗位のカメラ方向ももうちょっと天井側で良いと思うんですが、皆さんどうですか?
説明わかりにくい?— ハリマオ (@hariharivr) August 28, 2019
ーーこのツリーを辿っていくと、ツイ主はアリスJAPAN VRさんですね! こんな風にメーカーとユーザーが気軽に意見交換してるのって、歴史が浅くて試行錯誤中のVR AVならではって感じがします。
ーー「天井特化アングル」シリーズ3作目の川菜美鈴出演作に「元祖・天井特化」って書いてありますけど、このシリーズ以前にも天井特化作品はあったってことですね?
そういえば昨日話題にしてました
「天井特化」最近の作品だとここらへんですね。いずれもどどくん監督w
まいなちゃんは斜め上。
ゆりちゃんのは完全真上顔騎視点ですね。このアングルに多く共通してるが『顔騎』。もしかしたら顔騎アングルとも言えるかもですw pic.twitter.com/MGB8eYg9ZC— ハリマオ (@hariharivr) August 29, 2019
ーーこの優梨まいな主演の『【VR】すっごい射精管理。ご奉仕痴女と連続’奥’射精!! 優梨まいな』も天井特化の原型だったんですね! これ、騎乗位で上からじーっと見つめてくる優梨まいなの魅力がすごいなって思いました!
もうちょっとさかのぼると、2018年にSODさんから出てるのも、天井特化の原型の一つと言えるかもです。
プロトタイプ繋がりでSODさんからも出てます。
「添い寝」が売りの作品ですが、実は天井に姿鏡を設置するという思い切った撮影法が取り入れられてます。
こちらは2018年代ですね。
この時に既に「手首縫い付け騎乗位」って勝手に命名してて笑うwhttps://t.co/n7ozRidG9K pic.twitter.com/NE4pdzV2Ry— ハリマオ (@hariharivr) September 5, 2020
ーーハリマオさんはなんでも命名するのが好きですよね。「覆いかぶさり正常位」って言葉を使い出したのもハリマオさんだし……
ーーはいはい。「天井特化」って言葉を最初に使ったのもハリマオさんですよね。まさに2019年8月28日のこのツイートで!
ちょっと粗い加工で申し訳ないんですけど、簡単に言うと更に上向きにってことですw pic.twitter.com/HQ4sKkiKm3
— ハリマオ (@hariharivr) August 28, 2019
ーー女優に膝枕してもらって、上から見下ろされたい、下から見上げたいっていう2年前のアレですね。
動画説明文や画像には一切出てなかったのに…w
説明文に載せてくださいよwww
めちゃくちゃ嬉しい。これから流行って欲しいなぁ膝枕。
花魁的着物の胸元から零れるクレアちゃんの綺麗なおっぱい、お乳首様……
エロすぎ!!↓は以前、僕が見たいアングルをメモ的に残し作った画像ですww pic.twitter.com/gdzkhkKT8Y
— ハリマオ (@hariharivr) July 29, 2018
ーー当時は何を言ってるんだろう、この人は、って思ってました。天井に鏡つけろとか。
ーー天井特化アングルは、2018年頃から原型作品が出ていたので、ハリマオさん一人の考案とは言い切れないけれど、「天井特化」と命名して、そのアングルの魅力をフィーチャーした作品が生まれたのはハリマオさんの力が大きいですね!
天井特化アングルをより楽しむために
ーー天井特化アングルを最初見たときに、なんかうまく没入できないなってユーザーもいるらしいんですけど、ハリマオさんはどう思います?
たまに「チンポジが遠い」と仰る方がチラホラ。デバイス間での誤差も勿論あるでしょうし、これはVR視聴の際の基本的なテクニックというか心意気なんですが、ぼく的に言うと『自分から合わせにいく労力』も必要です。ほんの少しの気持ちの入れ替えで幸せになれる確率が上がる!
チンポジが遠いな、と匙を投げる前に、この画像(画像8)をご覧ください。
天井特化を視聴の際に大多数の方が①のように何かにもたれ掛かって視聴されてるんだと思うんです。
「アレ?遠いかも?」と感じたら②のように完全に寝て、VRの身体とシンクロさせた姿勢をとってみてください。違和感は大幅に緩和されると思います。ぜひお試しを!
ハリマオさんがおすすめする天井特化アングルVR
ーー最後に、ハリマオさんがおすすめの天井特化アングルVRをいくつか教えてください。
この作品は天井特化の見え方という意味で現存する天井特化の作品の中で最強だと思います。
Part.3 の動画の05:00あたりから確認できますね。
これがほんとに凄い。
ぼく風に言うなら【真・天井特化(極)】って感じ?w 天井特化版の極アングルとも言えます
ーーこんな風に上から見下ろされて、淫語で責められるのはすごい体験でした!
宮迫メンバァアアアアアア!
よくやった、褒めて遣わす!!
これはマジ買っとけ、見た方がいいっす。
最強クラスの天井特化VR、ここにあり。【4K匠】天井特化アングルVR〜隣の奥様〜 倉多まお https://t.co/iRdTb2yF7A #アダルトVR #AdultFestaVR
— ハリマオ (@hariharivr) October 1, 2020
ーー同じ天井特化でも、「天井度」が違うという指摘もしていますよね?
ちなみに天井特化シリーズの中でも天井側への開き具合が作品ごとにcm単位で微妙に変わってて
従来騎乗位アングルを0として開きMAXを10とすると
(10は自分の後方まで見えている状態)
やっぱ10が「真上から」感があって1番興奮する。
僕の体感ですが、10の数値を叩き出してるのが以下の画像の作品達。 pic.twitter.com/wDeq8md9Lq— ハリマオ (@hariharivr) September 15, 2020
ーーハリマオさんのツイートは、天井特化VRパケコレクションや、殿堂入りリストなど盛りだくさんなので、興味のある方はぜひハリマオさんのTwitterもチェックしてください。ありがとうございました〜。
「天井特化」がもたらしたもの
はじめに〜TwitterのVR AV雑談の現場から
「このエロVRがすごい!」編集係のぱちべえと申します。この特集のおわりに「このエロVRがすごい!」を企画運営しながら感じたVR AVの変遷や、TwitterでVR AVについて繰り広げられている雑談を眺めたり、自分も発言したりして知ったこと(件のTwitter雑談にもたまたま参加していました)をもとに天井特化について考察します。
以下は、このコラムの目次と各章の概要です。
- 天井特化は、VR AVにおける第4のキラープレイ
VR AVがエロメディアとして定着しつつあるのは、時折キラープレイが現れるからでしょう。「天井特化」は4番目のキラープレイに位置づけられると考えています - あらためて「天井特化」を考える
「天井特化」について多くの記事が書かれています。女優の顔が切れないことによる魅力、そしてユーザーの声が作品に反映されたことの2点が語られることが多いようです。でも、もっと大きな価値が「天井特化」にはあります。 - ユーザーの嗜好とメーカーの試行
VR AVでは制作側がユーザーの意見をかなり気にしているようです。ユーザーの嗜好は一本化されているわけではありませんから、メーカーはどの意見を取り入れるのか、さまざまに試行してきました。その歴史をかんたんに振り返ります。 - 「没入」に振った映像とは
ユーザーを大きく「鑑賞」派と「没入」派に大別したとき、「没入」派が求める映像について説明します。 - なぜ、カメラを天井に振ることができなかったのか?
女優の顔が切れることはメーカーにもわかっていたこと。従来アングルには理由があるはずです。 - 「天井特化」以前、すでにカメラを上に振った作品群
「天井特化」ツイート以前に、すでに天井にカメラを向けた作品が登場していました。 - 「天井特化」ツイートの本当の価値
ハリマオさんのツイートは、単にメーカーがユーザーの意見を取り入れた、という側面以上の価値があります。 - 「天井特化」アングルの本当の価値
天井特化アングルには、単に女優の顔が切れないという側面以上の価値があります。
天井特化は、VR AVにおける第4のキラープレイ
VR AVが3D AVの轍を踏まず、今ではFANZAの年間売り上げランキング上位に入るまでに成長したのは、その時々に「キラープレイ」とも呼べる、ユーザーを強烈に引きつける新しい魅力が生まれてきたことが大きい。従来のAV(以下、2D AV)とはまったく違った、むしろ注目されなかった部分にこそ、その魅力は見出されてきた。
2016年に本格化した日本のVR AVで、最初にユーザーを引きつけたのは「キス」だった。カメラに女優が顔を近づけて、キスのフリをする。過激化するAVに慣れたAVユーザーが、まるで中学生のように女優とのキスに酔った。美咲かんなが「VRの女王」と呼ばれたのも、彼女のキスに、フリを超えた何かがあったからだろう(参考「VRの女王・美咲かんな 「飛び抜けた」技術で大ブレイク」NEWSポストセブン)。
最初のキラープレイが「キス」だとしたら、次のキラープレイは「対面座位」だった。
2D AVでは必ずしも重視されていた体位ではない。女優と男優が密着してしまうので、女優の体を見せづらいこの体位は、VR AVには無くてはならないものになった。女優の顔を間近に感じることが最もできる体位だったからだ。
三番目のキラープレイは「覆いかぶさり正常位」だろう。
メーカーや監督によって見せ方はさまざまだが、仰向けの女優の顔にカメラがぐいっと近づけ、本当に抱き合っているように錯覚させる「覆いかぶさり正常位」は、VR AVならではの見せ場となった。
そして、「天井特化」は、2019年後半に現れた四番目のキラープレイだと私は考えている。
プレイというより撮影スタイルだが、騎乗位、とくに女優が覆いかぶさる騎乗位(いわゆるスパイダー騎乗位)とセットで力を発揮する。女優が見下ろすように顔を近づけるアングルは、M男的受け身願望を大いに満たすが、快感にあえぐ女優の顔を間近で見たいという向きにも好評のようだし、実際、どちらかに振った作品が多い。
先に挙げた3つはすべて今もキラープレイでありつづけている。天井特化も一過性のブームでなく、定番として、あえてそう呼ぶ必要がないほど、VR AVでなじみ深いものになるだろう。
あらためて「天井特化」を考える
天井特化については、すでに多くのアダルト情報サイトやAVブログで、記事になっている。VR AVに関して、これほど話題を集めるのは、VR AVそもそもの登場以来ではないだろうか。
これらの記事は、大まかに言って、2つのトピックにまとめられている。
一つ目は、女優の顔が切れない、顔が近い、見下ろされている感じが新鮮、といった「天井特化」の効果。
二つ目は、ユーザーの声をメーカーが反映して生まれたという、「天井特化」誕生エピソード。
この特集でも、この2つのトピックを、当事者のハリマオさん自身による解説、宮迫メンバー監督や、他メーカーへの取材を行い、できるだけていねいにまとめてみた。
天井特化はVR AVにとって、とても重要な意味を持つものだと思う。何年かしたら、天井特化という言葉は、おそらく忘れられてしまっているだろうが、VR AV創成期の渦中に立ち会っている一ユーザーとして、また多くの記事で引用されているTwitter雑談に立ち会った者として(さらに言えばハリマオさんの引き立て役として扱われている者として)、できるだけ正確な記録を残すようまとめてきた。
しかし、天井特化には、もっともっと語られるべき側面がある。天井特化が持つ、とても大きな価値がまだ語られていない。
そもそも、未見のユーザーにとって、いくら記事を読んでも、もちろんこの特集を読んでも、「カメラの角度が違う? だから何?」というのが「天井特化」に対する印象ではないだろうか。
カメラを今までより上に向けました、というだけなのだから。
これから、上記2つのトピックを大幅に更新しつつ、あらためて「天井特化」の価値を考え、それに貢献したのはいったい誰なのかを明らかにする。
カメラを上に向ける、ということが、なぜ今までできなかったのか。
そして、なぜ今、向けることができたのか。
カメラを上に向けてしまったら、もう戻せない。VR AVにとってきわめて重要な変化へのはじまりが「天井特化」なのだ。
ユーザーの嗜好とメーカーの試行
KMP VRさんがTwitterでときどき行うアンケートがある。
アダルトVRの視聴体勢で多いのは?※その他はコメントで書いて下さい#KMPアンケート
— KMP VR(Averもやってるよ) (@KMP_VR) September 9, 2019
多くのVR AVは、男優視点(主観視点)で、男優が対面座位、騎乗位と姿勢を変えれば、カメラ位置もそれに合わせて変わる。ユーザーの大半は、それを座った姿勢のまま見ている、というのがこのアンケート結果だ。
私は「作品中の男優に合わせる」派(ちなみにハリマオさんも合わせる派だそうだ)。姿勢を合わせると没入感は段違いに上がると思うのだが、アンケートでは13%程度と少数派だ。
座ったまま見ているユーザーは、「合わせる派」に、おそらく少し引いている。
合わせる派は、「座ったまま派」がVR AVの魅力を十分に味わっていないとイライラする。
こういうユーザー同士の分断は、VR AVでよく見られる。もちろんシリアスな分断ではなく、半ば冗談の分断だが、メーカーがユーザーの声をかなり気にしているらしいVR AVで、実は大きな問題だ。
ここまででいくつか引用したように、メーカーとユーザーの意見交換はTwitterで頻繁に見られる。とくに目立つのはKMPで、ネットで見つけたアイディアを作品にどんどん反映している。ネットにとどまらず、リアルでもユーザーと積極的に交流し、直接ユーザーの声を拾い上げている。SODも、2020年1月に、いくつかのメーカーのプロデューサー・監督とユーザーの意見交換会を主催している。
前回、2020年上半期の「このエロVRがすごい!」では、結果発表直後にツイキャスを行い、ZAMPA監督、ジーニアス膝監督、ウィルチンチン監督の声を直接聞くことができた。どの監督からもユーザーの意見を大事にしているという意味合いの発言があった。
他のジャンルはよく知らないが、こうした制作側とユーザーの距離が近いのは、VR AVというジャンルの大きな特徴だろう。
今では考えられないが、2017年後半頃のアンケートでは、男優があまり体位を変えると見づらいという意見が多かった。
SOD VRでファイルの最初に「このVR動画は(座った姿勢)での視聴に適した動画です」とテロップが入るのは、初期のそうしたユーザーの声に対応したものだそうだ。
VR AVでは、「おっぱい触って」「次はあなたが上になって」などと、女優が次の行為を示唆するセリフをよく口にする。
これも、男優が勝手に自分の予想しない動きをするのに不快感を示したユーザーの声があったからだという。一方で、こうしたセリフがリアルではない、興を削ぐという不満の声もあがる。分断はこうしたところに現れる。
最も大きな分断は、「鑑賞」派と「没入」派の嗜好の食い違いだ。大ざっぱにまとめれば、「鑑賞」派は、VRならではの視点の工夫は欲しいが、基本的に2D AV同様にしっかり女優・セックスを見たい人たちで、「没入」派は、女優とリアルなセックスをしているかのような、体感的な視点を楽しみたい人たち。
もっと乱暴にくくれば、「鑑賞」派は2D AVを中心に見てきた人たちで、「没入」派はVR AV中心に見ている人たち。
VR AVは、この「鑑賞」と「没入」がせめぎ合いながら進化してきた、と私は思う。
メーカーはこのバランスに腐心しているように思える。
前述のキラープレイで言えば、対面座位は女優の体が見えづらい。本当に抱き合ったら、顔はカメラの画角から切れてしまう。そのため、2018年初め頃までは、女優の顔や体を「鑑賞」させつつ、あたかも抱き合っているように「没入」できる距離感がなかなか決まらなかった。
2018年1月に「没入」を優先させた対面座位がすばらしいと、TwitterのVR AV好きユーザーが絶賛した作品が登場した。
「このエロVRがすごい!」2018年上半期で作品3位になった、『【VR】顔だけで選んだデリヘル嬢がマジで大当たり!本番禁止のハズが興奮剤を飲ませたら自ら生中出しを懇願してきたガチエロバニーちゃん!舞島あかり【リアル映像】』がそれである。
対面座位の距離感に関して、少し引きで胸を綺麗に見せる対面座位を心がける時と密着感多めの距離感をつぶした対面座位を作品によって使い分けてるけど、今後は密着感多めの対面座位を主流にしていこうと思います!その分騎乗位でカラダや胸のラインをしっかり見せます!よろしくお願いします!
— ジーニアス膝(KMP監督) (@nikumiso_JAPAN) February 16, 2018
そうですよね!撮影時に自分が感じる没入感とユーザーさんが求めている没入感の乖離を恐れ、綺麗な画を求めてしまいがちですがそこは自分の感覚を信じて臨場感推しでいこうと様々なレビューを見て改めて思いました!
— ジーニアス膝(KMP監督) (@nikumiso_JAPAN) February 16, 2018
同じく、前述のキラープレイ、「覆いかぶさり正常位」についても同様だった。
女優の体をしっかり見せると、女優は遠くなる。しかし、正常位のときにはもっと、女性に覆いかぶさるような映像が良いという、せめぎ合い。
やはり2018年初め、こんなツイートを立て続けに見た。勝手に引用する。
SILK LABOは本当に男性にも一度は観てもらいたい。勿論女性も。結合部絶対主義の私は敬遠していたけど観てみたらびっくり、ハマった。
ちなみに月野帯人さんはオビトではなくタイト、です。
田端信太郎のJuicy Voicy 2発目 – Tabata Shintaro#Voicyhttps://t.co/hbVAFbxKxd— Betsy(べっつぃー) (@BitchyBetsy) February 23, 2018
SILK LABOというのは、女性用AVメーカーで、VRも撮っている。
ほんとヌキ目的のAVで結合部映ってないとイライラする。写してないならわかるけど写ってないのは本当にストレス。
だから、絶対結合部が見られるVRはそれもあってストレスなく没入できるのかもしれない。
— イトウミナミ🧵🏖🌊 (@itochan_akete) February 23, 2018
リアルな正常位では、結合部(ハメシロ)が見づらい。女性の顔を結合部を同時に見るのはほぼ不可能。
その折衷として、VR AVでの正常位は、仰向けの女性に、男優が立て膝気味に合体している正常位が多かった。
カメラを男優の頭があるあたりに設置して撮影する都合もあったかも知れないし、2D AVの感覚では女優の体や結合部(いわゆるハメシロ)を見せないのはありえないのかも知れない。
覆いかぶさり正常位は2017年にすでに見られる。これは「このエロVRがすごい!」2017年で3票を獲得した『【VR】肉感!圧迫!窒息寸前!ケダモノ奥様と僕。 羽生ありさ』。
「覆いかぶさり正常位」は「鑑賞」よりも「没入」に振った見せ方だと言える。結合部すら見せないものもある。今も採用しないメーカーはあるし、覆いかぶさる前に、「鑑賞」しやすい距離で見せてから、徐々に近づいていくものある。
「没入」に振った映像とは
「没入」に映像を振るのは、メーカーにとってはリスクが高いかも知れない、とユーザーながら思う。
「没入」派は、リアルなセックスで見えるだろう景色を求める。
たとえば、男女が抱き合ったとき、男にはいったい何が見えるだろうか、そしてそれをそのまま再現してよいのか、という話だ。
リアルなら、見えるのは女性でなく、むしろ女性の背後だろう。視野の1/3ほどは女性の髪や首筋が見えるかも知れない。下へ目を向ければ、女性の背中が見えるかも知れない。横に首を振れば耳たぶが見えることもあるだろう。
対面座位では、密着するほど、女性の首筋や鎖骨、それとも上乳あたりが視野を埋める。
2D AVでは、いわゆる「フェチ映像」にあたるだろう。特定のフェティッシュな願望を満たすもので、購入するユーザーは限られる。
シックスナインを見せるVR AVも多いが、リアルそのままにやったら、視界はただ肌色に染まる。
そのため、女性が腰を浮かせて、フェラしているところも見えるようにするものが大半だ。これは「鑑賞」に振った見せ方と言える。
「没入」に振るのか、「鑑賞」に振るのか、メーカーは手探りでここまで少しずつ「型」を作ってきたのだと思う。
なぜ、カメラを天井に振ることができなかったのか?
天井特化を扱った他サイトの記事を見ると、たいていは、天井特化を考案したハリマオさんはすごい!というトーン、そしてユーザーの声が採用されたハートフルなエピソードとしてまとめられている。
『【VR】天井特化アングル!ジーニアス騎乗位(Genius in cowgirl position)! 永瀬ゆい』のパッケージに、考案:ハリマオ氏と記載されているのに、引っ張られているのだろうが、ここはもう少し慎重に見る必要がある。
本特集の冒頭で、従来アングルは、女優が騎乗位で覆いかぶさったときに顔が切れることを紹介したが、今までメーカーが気づかないわけがない。
考えなければならないのは、なぜ、切れるのはわかっていても、切れないようにカメラを上に向けることができなかったのか、ということだ。
本特集の「「天井特化」は、もはやVR AV標準キーワード?」で紹介したツイートを再掲する。
それ、けっこうやってます
視界が斜めになるのがネックです— KMP VR(Averもやってるよ) (@KMP_VR) March 6, 2019
それ現場の迷いどころです!ちょい上向きのほうが見やすいです?
— アリスJAPAN VR (@AliceJapanVR) August 28, 2019
前段で書いたように、VR AVの進化は「鑑賞」と「没入」のせめぎ合いだということが、これらのツイートからうかがえる。
騎乗位は、VR AVにおいて、このどちらも満足させやすい体位だと思う。女優の顔や体をしっかり見せやすいし、リアルセックスとの距離感の違いも生じにくい。
女優の顔から結合部まで一望しやすい、ユーザーの視野におさめやすい。
もう一度、先ほどのジーニアス膝監督のツイートを見ると、騎乗位をそう位置づけているのがわかる。
対面座位の距離感に関して、少し引きで胸を綺麗に見せる対面座位を心がける時と密着感多めの距離感をつぶした対面座位を作品によって使い分けてるけど、今後は密着感多めの対面座位を主流にしていこうと思います!その分騎乗位でカラダや胸のラインをしっかり見せます!よろしくお願いします!
— ジーニアス膝(KMP監督) (@nikumiso_JAPAN) February 16, 2018
天井にカメラを振ると、全身をしっかり見せる度合いは薄まる。
もちろん、カメラの画角には顔から結合部まで収まっているのでユーザーが首を上下に振れば済むことだが、「鑑賞」性は損なわれる。
※商品写真を撮るときに、説明写真として、どんな商品かはっきり分かるように撮るのか、それとも商品の良い印象を伝えるためにイメージ寄りで撮るのか、という違いに似ている。
カメラの画角は限られているから、ユーザーの顔をのぞきこむように女優が覆いかぶされば、当然頭は切れる。
これまでは、それを承知の上で、一望できる画角を優先していた、ということなのだろう。
女優の顔や体を見せやすい騎乗位では、なおさらそうした配慮が働いていたのではないだろうか。
「天井特化」以前、すでにカメラを上に振った作品群
KMP VRさんの別のアンケートを紹介する。
アダルトVRの騎乗位視聴方法について。騎乗位を見る時の体勢は?#KMPアンケート
— KMP VR(Averもやってるよ) (@KMP_VR) November 10, 2020
先に、男優と体位を「合わせる」派と「合わせない」派がいると書いたが、騎乗位では合わせるユーザーが多いようだ。
「「天井特化」命名者、ハリマオさんに訊いてみた②」で紹介した画像を再掲する。
ここで注目してほしいのは、①の姿勢で、これはまさに私が天井特化以前に騎乗位を見るときの姿勢だった。
リアルなセックスと違い、上体を15度程度、起こしていた。
この姿勢がカメラの画角と合い、メーカーが意図した映像をまんべんなく味わうことができる、そう思っていたからだ。
機種によって異なるものの、VRの再生プレーヤーには視点の中心を、ハードウェアの傾きや方向に合わせて調整する機能がある。私はスマホでVRを見ているが、スマホの傾き(つまり、ユーザーの頭の角度)を基準として、映像の上下(左右)のセンターを合わせることができ、より姿勢に合った視野を得られる。
ただ、上下のセンターを合わせる機能を私はほとんど使っていなかった。それよりも姿勢を変える方が没入できると思っていた。
※姿勢を「合わせない」派が、どう見ていたのか知らないが、おそらく、センター合わせの機能をこまめに使っているのかも知れない。
「合わせる」派の私が、どうにも視点が合う気がしない、角度がずれているように感じた作品が2019年7月にリリースされた。
この『汗だく種搾りプレスVR』は、体位をタイトルに銘打つくらいなので、かなり期待したが、最初、なかなか角度が合わない。女優の下腹部あたりばかりが目に入る。
悩んだあげく、思いきって、完全に仰向けになってみた。
両肩を完全に床につけるのは、私としてはかなりの踏ん切りが必要だったが、すると突然、世界は変わった。リアルに女性に見下ろされているではないか。
そこでようやく、カメラがこれまでより天井を向いていることに気づいた。
これが、私の初めての「天井特化」体験だった。
そして、2019年12月、この作品でも完全に仰向けになると、とたんに臨場感抜群の覆いかぶさり騎乗位を味わうことができた。
だいたい一緒ですねw
大きく違うのは、天井視野のところでしたね。
覆いかぶさり騎乗位で、このVRは、他に比べるとけっこう見上げても顔が見えると感じたんですけど、ハリマオさんによると、もっといけるそうなので、とりあえずジーニアス騎乗位見ますw
— ぱちべえ (@chijodomei) December 2, 2019
すると、メーカーのunfinishedさんから、幸運にもリプをもらった。
凄い!技術的な事はあまり言わないようにしてますが、うちは対位によりハメてる所と顔が見えるように多少カメラアングル変えてるんですよね!コメント見て驚いたのでリプしちゃいましたw有難う御座います(*´꒳`*)
— unfinished・marrion公式AV@アンフェ・マリオングループ (@Unfi_) December 3, 2019
『ジーニアス騎乗位』はアダルトフェスタVRから2019年11月にリリースされているが、撮影時期としてはほぼ同じくらいだろうから、「天井特化」は同時多発的に「考案」されていたと言えるだろう。
その他、件の「天井特化」ツイートとは無関係に、天井にカメラを振ったアングルのVRはいくつか作られている。本特集の『天井特化アングル誕生秘話』も参照されたい。
なお、これは私だけの感想かも知れないが、これまで15度ほど上体を起こして見ていた、従来アングルと思っていた既存の非「天井特化」VR AVでも、「天井特化スタイル」、つまり完全に仰向けの姿勢で見ると新しい発見があるものが多い。
完全に仰向けになって、再生プレーヤーで天地のセンターをしっかり合わせると、途端に臨場感が跳ね上がる作品が多数あるのだ(ただし、天井特化ではないので、女優の顔は一部切れることもある)。
従来姿勢で見ていたら気づかなかった魅力的な作品が多いことを知ったのは「天井特化」のおかげだと思う。
例えばこの作品は、あらためて「天井特化」スタイルで視聴すると、布団の中にいる感じがすばらしくよく出ていることに気がついた。
これは「天井特化」以前から、男優が仰向けになったときの視野をよりリアルに見せるよう工夫されていたことを示している、とも言えるかも知れない。
ぜひ、すでに視聴済の「天井特化」以前の作品も完全仰向け姿勢で試してほしい。
「天井特化」ツイートの本当の価値
こう見ていくと、『【VR】天井特化アングル!ジーニアス騎乗位(Genius in cowgirl position)! 永瀬ゆい』のパッケージに書かれている「考案:ハリマオ氏」は、なんだか微妙に思えてくる。
※ハリマオさん本人が『天井特化アングル誕生秘話』で触れている。
では、「考案:ハリマオ氏」というのは、誇大広告かと言うと、そうではない。
前述したように、VR AVではメーカーはユーザーの意見を積極的に聞いているが、それをそのまま鵜呑みにしているわけではない。
ユーザー同士の意見は分かれるので、最大公約数を探りながら、徐々に作品に反映させている。
女優の顔が切れないようにすべきか否か、ユーザーがどう受け取るのかはメーカーにとって、以前から問題だったろうし、すでにカメラを天井に向けた作品はあった。
ハリマオさんの功績は、カメラを天井に振り、女優に覆いかぶさられて見下ろされることの快楽を説得力ある形で提案したことにある。VR AVでの疑似セックスの新しい楽しみ方をコンセプトとして提出し、それを「天井特化」とインパクトあるネーミングをしたことに価値がある。
もちろん、そのコンセプトを活かしながら作品化したKMPの宮迫メンバー監督の功績も大きい。双方のそこに至るまで、ユーザーの願望や、作品へのレビュー、自分の持つイメージを図解するなどの手間暇かけた対話の積み重ねがあったからこそで、あのツイートはその氷山の一角なのだ。
「天井特化」アングルの本当の価値
「天井特化」が好評をもって迎えられたことは、今後のVR AVにとって重要な分岐点になると思う。
「鑑賞」と「没入」の対比で言えば、「没入」系作品はより大胆に、体感的にリアルな視野、クローズアップされた視野を取り入れていくだろう。ユーザーが自分の身体感覚をより重視した、体験型映像を求める方向に進むのではないだろうか。
実際、天井特化と前後して、2D AVとは違う、体感的で断片的な映像(首筋のアップなど)を重視した作品がいっそう増えたように感じる。
女優の体をしっかり見せたり、結合部を見せたり、といったものよりも、実際にセックスしているときの視野に近いものへ舵を切りつつあるのではないだろうか。
別の言い方をすると、映像を見るために姿勢を合わせるというより、実際のセックス時と同じ姿勢をとるほど、リアルな体感が得られる作品が増えている。※ハリマオ氏へのインタビューでも話題に出ているが、天井特化アングルは、完全に仰向けになったときにその魅力が最大限に発揮される。
例えば、2020年3月リリースのこの作品は、完全に仰向けになることで、これまでなかったVR AVならではの視覚的な快楽を得ることができる。
大手メーカーの専属女優出演作だが、ここまで大胆にクローズアップされ、顔や体が断片的に見えてもよいという割り切りをしているのに驚いた。
「天井特化」は、単にカメラを上に向けたというだけなく、体感的な映像の楽しみをより多くのユーザーに受け入れられる形で提供したというのが最大の功績であり、その価値なのだと思う。